My wish is...  第七話



12月になった。


今年も無事紅白に出場できることになり、急ピッチで衣装が製作されている。

その衣装合わせのため、メンバーが揃う機会があった。



「あれ、千晃は?」


「所用で遅れるそうです」


「最近多くない?」


スタッフの返事に直也君が首をひねる。


でも、衣装合わせは各自のスケジュールによるところが大きいので居合わせないメンバーがいることは常である。


特にここ最近にっしーと日高君がいないのは普通で、いることのほうが稀である。




「俺最近千晃に会ってへんわ」



ドームツアーが終わってしばらくの間アメリカへ戻っていた真司郎も、年末に向けて日本に帰国していた。


2年ぶりに出すNEWアルバムはすでにほとんどがレコーディングが済んでいて、来年発売のシングル曲もあとは明後日のMV撮影があるだけ。


シングルのほうは来年1月から始まるドラマの主題歌にも決まっていて、今回の曲はちょっと妖しい大人の恋の曲で、メンバーがほとんどアラサーになった今だからこそ歌える曲でもある。




「そういえばにっしー、1月追加公演やっぱり行けそうにないわ」


「宇野ちゃんは観に行くんやろ?」


「うん、最終日だけ観に行こうかな。真司郎はそのころアメリカ?」


「そうやねん、またすぐ日本に帰らなあかんけどタイミング合わんかった」


「えーーー真司郎」


「まぁしょうがないやん、次があったら行くわ」



今年一年、本当ににっしーと日高君はすごかった。


それぞれがソロとしてちゃんと活躍して、

にっしーに関しては一人でアリーナを埋めてしまった。



「宇野ちゃんたちも来年はMISACHIAでツアーやろ?」


「うん、曲もだいぶできたし年明けにレコーディングすることになってる」


「3月だっけ?俺観に行こうかなぁ」


「AAAではなかなかできないようなのをするつもりだからよかったら見に来てね!私もすごく楽しみなの」




衣装合わせの合間はいつも賑やかだ。


ライブがない冬の間、私たちは少し会わない時間が増える。


でも、そんな時間がないかのように会えばいつもそばにいるような距離感になる。





「そういえば紅白の曲って涙のない世界だよな」


「いや、まだ決まってないらしい」


「例年とは違う試みにするんだろ?」


「早く決めてほしいよな」




日高君が携帯を肩に挟みながらネクタイを締める。

器用なものだ。

秀太は相変わらずゲーム片手。

でもみんな以前よりも仕事を持ち込むことが増えた。



「なんか今年もあっという間だったよねぇ」


「ほんと、ドームがめっちゃ前の気がする」


「来年もまたドームでしたいなぁ」


「次は四大ドームだろ?」


「ほらほら、スタッフさんが慌てるって」




メンバーやスタッフさんの笑い声が上がる。


一つ、一つ、階段をのぼってきた。


でもまだ、誰も満足していない。


この先も、まだ私たちは進んでいきたい。





そのことはみんなが思っている気がしていた。





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